PR

省エネ基準適合義務化と4号特例縮小の影響|木造2階建ての新築とリフォーム

省エネ基準適合義務化と4号特例縮小の影響 費用・ローン
記事内に広告(アフィリエイトリンク)が含まれています。

35日。2階建ての木造住宅の確認申請を受け付けてから、建築主事が審査を終えるまでの期限です。平屋で延べ200㎡以下の家なら7日以内。

出典: e-Gov法令検索『建築基準法』第6条第4項

2025年4月1日に施行された建築基準法と建築物省エネ法の改正で、木造2階建ての住宅は平屋で延べ200㎡以下の家とは別の区分に移りました。構造と省エネの図面も審査の対象になり、同じ日から、新築するすべての住宅に省エネ基準への適合が義務づけられています。施行から1年半がたち、経過措置も一部はもう終わりました。2026年秋の時点で家を建てる人、リフォームする人に何が関わるのかを、国土交通省の資料と条文から順に見ていきます。

「4号特例がなくなった」は半分だけ正しい

よく聞く言い方ですが、審査を省く仕組みそのものは残っています。変わったのは、省略の対象になる建物の範囲です。

改正前は、都市計画区域などの中で建築士が設計と工事監理をした木造建築物のうち、階数2以下・延べ面積500㎡以下のものは、構造関係規定などの審査の一部が省略されていました。これがいわゆる4号特例です。改正後に省略の対象として残ったのは、木造か非木造かを問わず「平屋かつ延べ面積200㎡以下」の建物だけで、国交省はこれを新3号建築物と呼んでいます。

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)

区分対象になる建物建築確認構造・省エネの審査
新2号建築物階数2以上、または延べ面積200㎡超(木造・非木造とも)すべての地域で必要省略なし
新3号建築物都市計画区域等の中の、平屋かつ延べ面積200㎡以下必要一部省略(省エネ審査も省略)
確認の対象外都市計画区域等の外の、平屋かつ延べ面積200㎡以下不要―

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)、e-Gov法令検索『建築基準法』第6条第1項

一般的な木造2階建ての家は、延べ面積が200㎡以下でも新2号に入ります。平屋でも延べ200㎡を超えれば新2号です。

見落とされやすいのは、都市計画区域の外の家です。改正前は、階数2以下で延べ500㎡以下の木造建築物は区域外なら基本的に建築確認がいりませんでした。今は区域外でも、2階建てなら確認申請と検査が必要になっています。

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)

新築の確認申請で増えた図面と審査

新2号の家では、確認申請のときに構造関係規定の図書と省エネ関連の図書を出すことになりました。設計者の手元で済んでいた壁量の計算や断熱の仕様が、審査する側の目を通るようになったわけです。

審査期間の上限も区分で分かれます。建築基準法第6条第4項は、新2号を含む第1号・第2号の建物は受理から35日以内、新3号に当たる第3号の建物は7日以内に審査して確認済証を交付する、と定めています。35日は上限なので実際にはもっと早く下りることもありますが、着工日から逆算するときは長めに見ておくほうが安全です。

出典: e-Gov法令検索『建築基準法』第6条第4項

構造の決まりも動きました。2階建て以下の木造で構造計算が必要になる規模は、延べ面積500㎡超から300㎡超へ引き下げられています。壁量計算などの仕様規定で構造を確かめられる木造は「階数2以下・延べ面積300㎡以下・高さ16m以下」です。

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)

項目改正前2025年4月以降
審査の一部省略階数2以下・延べ500㎡以下の木造平屋かつ延べ200㎡以下(新3号)
構造計算が必要な木造(2階建て以下)延べ500㎡超延べ300㎡超
仕様規定で確かめられる木造階数2以下・延べ500㎡以下・高さ13m以下・軒高9m以下階数2以下・延べ300㎡以下・高さ16m以下
必要壁量の求め方「軽い屋根」「重い屋根」の区分で算定建物の仕様の実況に応じて算定

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)

壁量の見直しには理由がある。断熱を厚くし、トリプルガラスのサッシや太陽光パネルを載せれば、そのぶん家は重くなる。従来の「軽い屋根」「重い屋根」の2区分では必要な壁量を正しく出せないおそれがある、というのが国交省の資料の説明です。耐震性を上げる場合の費用感は耐震等級3の費用とメリットで整理しています。

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)

2026年3月31日で終わった経過措置

改正直後には、壁量と柱の小径に限って改正前の基準を使える経過措置がありました。対象は2025年4月1日から2026年3月31日までに工事に着手する、階数2以下・高さ13m以下・軒高9m以下・延べ300㎡以内の木造建築物です。

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)

この期間はもう過ぎています。2026年4月以降に着工する家は、新しい壁量基準で設計されていなければなりません。審査省略の縮小と省エネ基準への適合義務には、もともと経過措置はありませんでした。

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)

改正の流れと、これからの予定
  • 2021年10月
    閣議決定でロードマップが示される
    住宅を含む省エネ基準適合を2025年度までに義務化し、遅くとも2030年度までに基準を段階的に引き上げる方針。
  • 2024年4月
    大規模非住宅の基準を引き上げ
    2,000㎡以上の非住宅建築物で、事務所等はBEI 0.80などに。販売・賃貸の広告での省エネ性能ラベルの表示も始まる。
  • 2025年4月1日
    改正法の施行
    新2号・新3号への区分変更と、すべての新築・増改築での省エネ基準適合義務がスタート。
  • 2026年3月31日
    壁量・柱の小径の経過措置が終了
    この日までに着工した一定の木造だけが改正前の基準を使えた。
  • 遅くとも2030年度
    省エネ基準をZEH水準へ
    新築の住宅・建築物でZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保を目指す。

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)

「省エネ基準 0.8」という数字を見かけたら、この2024年4月の引き上げのことだと考えてください。BEIは設計上の一次エネルギー消費量を基準の値で割った数字で、住宅の省エネ基準は1.0以下。0.80は2,000㎡以上の事務所や学校などの非住宅に適用される値で、戸建て住宅の基準ではありません。

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)

どの会社に頼むか迷ったら、中立の窓口に無料相談する

注文住宅は同じ要望でも会社によって数百万円の差が出ます。展示場を1社ずつ回る前に、特定の会社を勧めない中立のアドバイザーに「予算・エリア・希望」を伝えて、合う会社を絞ってもらうと遠回りしません。LIFULL HOME’S 住まいの窓口は相談料無料、営業なし、店舗でもオンラインでも相談できます。

まずは自分で資料を集めたい方は 持ち家計画(複数社にまとめて資料請求・PR) も使えます。

義務になった省エネ基準の水準

省エネ基準は、外皮(屋根・壁・床・窓)の断熱性能と、冷暖房や給湯などで使う一次エネルギーの量の2本立てです。外皮は外皮平均熱貫流率UAで判定し、値が小さいほど熱が逃げにくい家になります。住宅性能表示でいえば断熱等性能等級4がこの水準に当たります。

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)

地域区分UAの基準値(W/㎡・K)性能表示での水準
1・2地域0.46断熱等性能等級4
3地域0.56断熱等性能等級4
4地域0.75断熱等性能等級4
5〜7地域0.87断熱等性能等級4
8地域基準値なし断熱等性能等級4

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)。どの地域区分に入るかは市町村ごとに決まっているので、設計者に確認する

省エネ基準の外皮平均熱貫流率(UA)の基準値
出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)

グラフで見ると、寒い地域ほど基準が厳しい(値が小さい)ことが分かります。5〜7地域の0.87は、今の新築住宅としては控えめな水準です。

編集部は、これから建てるなら省エネ基準ぎりぎりで止めない設計をすすめています。国は遅くとも2030年度までに基準をZEH水準へ引き上げる方針を示しており、今の基準ちょうどの家は、数年後には「最低限の家」として比べられることになるからです。ZEHの考え方と補助金はZEHの補助金と省エネ基準、断熱材の選び方は断熱材の比較、窓の性能差は窓サッシの断熱比較にまとめています。

省エネの審査は3つのルートで省ける

省エネ基準への適合は、原則として省エネ適判(エネルギー消費性能適合性判定)で確かめます。所管行政庁か登録判定機関で判定を受け、通知書を建築確認の窓口に出す流れです。

ただし住宅では、次の3つのどれかに当たれば省エネ適判を省き、建築確認の審査と一緒に適合を確かめられます。

  1. 仕様基準で外皮性能と一次エネルギー消費性能の両方を評価する住宅
  2. 設計住宅性能評価を受けた住宅の新築
  3. 長期優良住宅建築等計画の認定、または長期使用構造等の確認を受けた住宅の新築

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)。仕様基準で外皮か一次エネのどちらか一方だけを評価する場合は省エネ適判が必要

どのルートを使うかで、申請の手間と日数が変わる。長期優良住宅の認定を受けるなら、そのまま3番目に乗れます。認定の基準と税の優遇は長期優良住宅の認定基準と税制優遇で確認できます。

省エネは図面の段階だけでなく、完了検査でも確かめられます。適合が確認できなければ検査済証は出ません。

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)

施主として気にしておきたいのは、見積もりや工程表にこの手続きがどう載っているかです。私たちは、契約前に「省エネ適判を受けるのか、仕様基準や性能評価で省くのか」を施工会社に聞き、その費用が見積もりのどこに入っているかを確かめることをすすめます。見積書の読み方は注文住宅の見積もりの見方を参考にしてください。

リフォームで確認申請が必要になるのはどんな工事か

影響がより大きいのはリフォームかもしれません。建築基準法第6条第1項は、第1号・第2号の建物について、建築だけでなく大規模の修繕・大規模の模様替も確認の対象にしています。木造2階建ての家が新2号に移ったことで、2025年4月以降に着工する大規模なリフォームには確認申請が必要になりました。

出典: e-Gov法令検索『建築基準法』第6条第1項、国土交通省『木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について』(2025年)

大規模の修繕・模様替とは、主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)の1種以上について、過半を改修する工事を指します。過半かどうかは部位ごとに判断し、壁は総面積、柱と梁は総本数、床と屋根は総水平投影面積、階段は階ごとの総数で数えます。

出典: 国土交通省『木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について』(2025年)

木造戸建のリフォームで確認申請が要るかの判断(国土交通省の資料をもとに編集部作成)
木造戸建のリフォームで確認申請が要るかの判断(国土交通省の資料をもとに編集部作成)

国交省は部位ごとの例を示しています。屋根で見ると、屋根ふき材だけの改修や既存の屋根に新しい屋根をかぶせるカバー工法は、大規模の修繕・模様替に当たらない扱いです。改修が垂木まで及び、その面積が総水平投影面積の過半になると確認申請が必要になります。

出典: 国土交通省『木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について』(2025年)

部位確認申請が要る例要らない例
屋根垂木まで改修し、面積が過半屋根ふき材のみの改修、カバー工法
外壁壁を構成する主要な材まで改修し、面積が過半外装材のみの改修、かぶせる工法、内側からの断熱改修
床(最下階を除く)根太まで改修し、面積が過半既存の床に仕上げ材をかぶせる
階段階段の過半を架け替える既存の踏板に仕上げ材をかぶせる
柱・梁総本数の過半を交換過半に届かない交換、既存の梁への補強

出典: 国土交通省『木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について』(2025年)。資料は事例のイメージで、判断がつかない場合は特定行政庁への相談を求めている

キッチン・トイレ・浴室の交換や、バリアフリーのための手すりやスロープの設置は、これまでどおり確認申請はいりません。ただ、確認が不要な工事でも、工事後の建物は建築基準法に適合している必要があります。

出典: 国土交通省『木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について』(2025年)

屋根の葺き替えを考えている人は、カバー工法との違いが手続きにも表れます。工法ごとの費用は屋根の葺き替えとカバー工法の費用で比べています。

ここは、編集部としても判断が難しいと感じるところです。確認申請が要るとなれば、図面の用意と審査の日数が工期に加わります。一方で、構造まで手を入れる工事を申請なしで進められる状態のほうが、住む人にとっては不安が大きいはずです。間取りを大きく変える計画なら、確認申請を前提に予算と工期を組むほうが現実的でしょう。

増築したら家全体を断熱し直す?

その必要はありません。2025年4月以降の増改築では、省エネ基準に適合させるのは増改築した部分だけです。改正前の制度で義務の対象になっていた増改築は既存部分を含めた建物全体で判定していましたが、そこが改められました。

また、修繕・模様替(いわゆるリフォームや改修)は、省エネ基準の適合義務の対象ではありません。床面積10㎡以下の新築・増改築も適用除外です。

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)

工事の種類省エネ基準の適合義務確認申請(木造2階建ての場合)
新築あり(建物全体)必要
10㎡を超える増築あり(増築部分のみ)原則必要
主要構造部の過半を直すリフォームなし必要
水回りの交換・手すりの設置なし不要

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)、国土交通省『木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について』(2025年)

義務はなくても、断熱の改修には補助金が使える場合が多くあります。内窓の効果と費用は内窓の効果と費用で扱っています。

これから建てる人、直す人の判断の目安

ここまでの内容を、家の計画ごとに並べ直します。

計画関わる改正契約前に確かめること
木造2階建ての新築新2号の審査、省エネ基準の適合義務、新しい壁量基準省エネの審査ルート、確認申請の日数を見込んだ工程
平屋・延べ200㎡以下の新築新3号(審査の一部省略)、省エネ基準の適合義務審査が省略されても基準への適合は必要という点
都市計画区域外の2階建て確認申請・検査が新たに必要申請先と申請の費用
屋根・外壁・間取りの大きなリフォーム大規模の修繕・模様替の確認申請過半に当たるか、カバー工法などで避けられるか
水回り・内装のリフォーム原則として手続きの変化なし工事後も法に適合していること

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)、国土交通省『木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について』(2025年)

平屋と2階建てで迷っている人にとっては、延べ200㎡が手続き上の境目になります。ただ、一般的な広さの家ならどちらでも省エネ基準への適合は求められるので、手続きの差だけで平屋を選ぶ理由にはなりにくい、というのが編集部の見方です。間取りと費用の比較は平屋と二階建ての比較を見てください。住宅ローン控除でも省エネ性能が条件に関わるため、住宅ローン控除2026の条件もあわせて確認しておくと安心です。

ここが気になる

Q
2025年3月に確認済証をもらい、着工が4月以降になりました。省エネ基準は関係ありますか?
A

関係します。省エネ基準の適合義務は2025年4月以降に工事に着手したものから適用され、確認済証が施行前に交付されていても、着工が4月以降なら完了検査で省エネ基準への適合が確かめられます。適合が確認できない場合、検査済証は交付されません。

Q
建売住宅の広告に出ている「省エネ性能ラベル」の星は何を表していますか?
A

2024年4月以降に建築確認を申請した住宅などを販売・賃貸する事業者は、国の告示に従ったラベルを使うことになっています。エネルギー消費性能は星1つで省エネ基準に適合し、星が1つ増えるごとに10%の削減を表します。断熱性能は7段階で、4が省エネ基準の水準です。

Q
外皮の計算は自分でもできますか?
A

国交省の資料は、外皮性能の計算に一般社団法人住宅性能評価・表示協会のホームページで公開されている計算シートを使えると案内しています。ただし確認申請に出す図書は設計者が作るものなので、施主は設計者から計算結果やUA値を受け取り、内容の説明を求める形が現実的です。

出典: 国土交通省『建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料』(2024年)

どの会社に頼むか迷ったら、中立の窓口に無料相談する

注文住宅は同じ要望でも会社によって数百万円の差が出ます。展示場を1社ずつ回る前に、特定の会社を勧めない中立のアドバイザーに「予算・エリア・希望」を伝えて、合う会社を絞ってもらうと遠回りしません。LIFULL HOME’S 住まいの窓口は相談料無料、営業なし、店舗でもオンラインでも相談できます。

まずは自分で資料を集めたい方は 持ち家計画(複数社にまとめて資料請求・PR) も使えます。

参考・出典

参照日: 2026年10月30日

費用・ローン建材情報
この記事を書いた人
AKITEKT編集長 伊藤 建

AKITEKT編集長として、建築業界に興味を持つライターとして、高品質な記事制作を手がけています。掲載するコンテンツは、業界の最新トレンドや実際の事例を調査し、正確で信頼性のある情報を読者に届けることを大切にしています。
『家づくりの未来を築く』をモットーに、家づくりを検討している方や建築業界に携わる方にとって役立つ情報を発信し続けています。

AKITEKT編集長 伊藤 建をフォローする
シェアする
AKITEKT編集長 伊藤 建をフォローする
タイトルとURLをコピーしました