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高気密高断熱住宅のデメリット7つ|UA値・C値の目安と会社の見分け方

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高気密高断熱の家に、性能そのものが原因のデメリットはほとんどありません。

「乾燥する」「夏に暑い」「結露した」「息苦しい」。よく聞く後悔の声をたどると、ほとんどは換気・日射・湿気の計画か、現場の施工の問題に行き着きます。性能の数字が高いだけでは防げず、数字の裏側にある設計と工事で決まる、ということです。

そこで、よく挙がるデメリットを一つずつ原因と対策に分け、UA値とC値の読み方、国の基準の現在地、工務店に何を聞けば見分けられるかを、国土交通省と消費者庁の資料をもとに並べました。

よく聞く7つのデメリットと、本当の原因

最初に全体を表にします。左から「言われていること」「なぜ起きるか」「どう防ぐか」「契約前に確かめること」の順です。

言われるデメリット起きる理由防ぎ方契約前に確かめること
建築費が上がる断熱材・窓・換気設備の仕様が上がる効く部位(窓・天井)から優先して上げる仕様ごとの見積もりの差額
冬に乾燥する暖房で室温が上がると相対湿度が下がる加湿の計画、換気方式の選択第1種換気の熱交換の種類
夏に暑い(オーバーヒート)日射が入ると熱が逃げにくい軒・庇・外付けブラインドで日射を遮る窓ごとの日射の取り方
壁の中で結露する室内の湿気が壁に入り、冷えた部分で水になる防湿層・通気層を切れ目なくつくる防湿と通気の納まり図
息苦しい・空気がこもる換気が止まっている、計画どおり流れていない24時間換気を止めない、フィルター掃除換気経路と点検口の位置
窓が小さくなる窓は壁より熱が逃げやすい窓の性能を上げて大きさを確保する窓の仕様と大きさの両立案
性能が会社でばらつく気密は現場の施工精度で決まる全棟で気密測定をする会社を選ぶ測定の時期と結果の報告方法

各項目は編集部の整理。結露・窓・気密の扱いは国土交通省『住宅性能表示制度の見直しについて』(社会資本整備審議会 資料、2022年)による

7つのうち、性能を上げたこと自体が直接の原因と言えるのは「建築費」くらいでしょう。残りの6つは、計画と施工で抑えられる種類のものです。以下、ひとつずつ見ていきます。

建築費が上がる──どこにお金を使うか

断熱材を厚くし、窓を樹脂サッシやトリプルガラスにし、熱交換型の換気設備を入れれば、当然ながら建築費は上がります。上がり幅は家の大きさ・形・仕様の組み合わせで大きく変わり、国が公表している統一の相場はありません。だからこそ、見積もりは「標準仕様」と「断熱を一段上げた仕様」の2通りで出してもらい、差額を自分の目で確かめるのが確実です。

同じ予算なら、熱の逃げ道として大きい窓から手を付ける、というのが私たちの考えです。窓の種類ごとの熱の通しやすさは窓サッシの断熱性能比較、断熱材の違いは断熱材の種類と比較で整理しました。

冬に乾燥する──性能が上がったからではない

空気は温めると、含まれる水分の量が同じでも相対湿度が下がります。暖かい家ほど乾燥を感じやすいのは、この物理の結果です。すきま風の多い寒い家では暖房の効く範囲が狭く、そもそも室温が上がりきらないため、乾燥に気づきにくいだけとも言えます。

対策は加湿器の置き場所と容量を最初から決めておくこと。熱と一緒に湿気も回収するタイプの熱交換換気(全熱交換型)を選ぶ方法もあります。ただし全熱型は、浴室やトイレの排気をどう扱うかで設計が変わるため、方式は設計段階で確認してください。

夏に暑い──原因の多くは窓から入る日射

断熱性が高い家は、いったん入った熱も逃げにくい。夏の西日や南の大きな窓から日射が入り続けると、エアコンを止めた部屋が想像以上に暑くなります。これが「オーバーヒート」と呼ばれる現象です。

防ぐ手立ては、日射を窓の外側で止めること。軒や庇の出、外付けブラインド、すだれ。ガラスの種類(遮熱型か取得型か)を方角ごとに変える設計もあります。国の基準でも、UA値と並んで冷房期の日射熱取得率(ηAC値)が定められており、断熱と日射遮蔽はセットで考える前提です。

出典: 国土交通省『住宅性能表示制度の見直しについて』(社会資本整備審議会 資料、2022年)

壁の中の結露──等級6・7で基準が厳しくなった理由

見落とされがちなのが、壁や天井の内部で起きる結露です。国土交通省は断熱等級6・7を設けた際、断熱性能を上げると壁の内部などの温度が下がり、内部結露や表面結露のリスクが高まると説明しています。そのため等級6・7では、通気層を設けない場合の防湿層の基準を等級4・5より厳しくしました(透湿抵抗 0.082→0.144 m²・s・Pa/ng以上、1〜3地域以外の場合)。

出典: 国土交通省『住宅性能表示制度の見直しについて』(社会資本整備審議会 資料、2022年)

断熱を厚くするほど、湿気の通り道の設計と、防湿シートの切れ目をなくす丁寧な施工が欠かせなくなります。高性能な家ほど職人の手間が品質を左右する、という一例です。

息苦しさ・空気のこもり

2003年7月の建築基準法改正(シックハウス対策)以降、住宅を含む居室のあるすべての建築物には、原則として機械換気設備の設置が義務付けられています。高気密の家だけの話ではありません。

出典: 国土交通省『建築基準法に基づくシックハウス対策について』

それでも息苦しさを感じるとしたら、まず疑うのは「換気が止まっている」「フィルターが詰まっている」「給気口をふさいでいる」の3つです。気密が高い家ほど、換気は計画した経路どおりに流れます。逆に言えば、止めたときの影響もはっきり出る。電気代が気になってスイッチを切る、という使い方が一番まずいのです。

窓が小さくなる

国土交通省が断熱等級6・7を新設したときの意見募集でも、「断熱性能を高めた結果、開口部の面積が小さくなり、快適性が下がるおそれがある」という意見が寄せられました。国の回答は、住まいのニーズに応じて性能を選ぶことが大切だと周知していく、というものです。

出典: 国土交通省『住宅性能表示制度の見直しについて』(社会資本整備審議会 資料、2022年)

窓を減らせば数値は良くなります。けれど、明るさや眺め、冬の日射による暖かさまで手放すのは本末転倒。窓の性能を上げて大きさを残す、という順番で設計者と話してみてください。

性能が会社でばらつく

断熱の性能は図面と計算で決まりますが、気密は現場の仕事で決まります。同じ図面でも、施工の丁寧さで隙間の量はまったく変わる。ここが、高気密高断熱住宅で後悔する人が最も多い原因だと私たちは見ています。詳しくは後半の「見分け方」で触れます。

UA値は図面の数字、C値は現場の数字

2つの数値は名前が似ていますが、測っているものも、決まるタイミングも違います。

UA値(外皮平均熱貫流率)C値(相当隙間面積)
表すもの家の外皮から逃げる熱の量家全体の隙間の量
計算・測定設計段階の計算(熱損失の合計÷外皮総面積)現場で機械を使って測る(隙間面積÷延床面積)
単位W/(m²・K)cm²/m²
小さいほど断熱性能が高い気密性能が高い
国の基準断熱等性能等級として地域別に基準値あり現在の国の基準・等級にはない

出典: 国土交通省『住宅性能表示制度の見直しについて』(社会資本整備審議会 資料、2022年)、国土交通省『今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第四次報告案)に向けた主な審議事項と議論の方向性』(2025年)

C値が国の基準にない、という点は意外に思われるかもしれません。国土交通省の資料によれば、平成21年(2009年)の住宅性能表示制度の見直しで、省エネ対策等級から相当隙間面積(C値)が削除されました。

出典: 国土交通省『今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第四次報告案)に向けた主な審議事項と議論の方向性』(2025年)

その後、気密の等級をつくるべきだという意見に対しても、国は「気密性は施工精度によるため、設計内容を基に評価する住宅性能表示制度ではなく、ガイドライン等により施工上の留意点を周知する」と答えています。つまりC値は、国が保証してくれない数字。施主が自分で確かめるしかありません。

出典: 国土交通省『住宅性能表示制度の見直しについて』(社会資本整備審議会 資料、2022年)

UA値の基準は地域と等級で変わる

UA値の基準値は、全国を気候で8つに分けた地域区分ごとに決まっています。1地域が最も寒く、数字が大きくなるほど温暖です。戸建て住宅の断熱等性能等級4〜7の基準値は次のとおりです。

等級1・2地域3地域4地域5〜7地域
等級70.200.200.230.26
等級60.280.280.340.46
等級5(ZEH水準)0.400.500.600.60
等級4(省エネ基準)0.460.560.750.87

出典: 国土交通省『住宅性能表示制度の見直しについて』(社会資本整備審議会 資料、2022年)。単位はW/(m²・K)。8地域はUA値の基準なし、等級7は8地域では設定なし

断熱等性能等級ごとのUA値の基準(戸建て住宅)
出典: 国土交通省『住宅性能表示制度の見直しについて』(2022年)

6地域で比べると、等級4の0.87に対し等級6は0.46、等級7は0.26。同じ「省エネ住宅」でも、熱の逃げにくさには3倍以上の開きがあります。自分の建築地が何地域かは市町村単位で決まっているので、設計者に最初に確かめておくと話が早く進みます。

ZEHの補助を使う場合は等級5以上が前提です。条件と金額はZEH補助金の解説にまとめています。

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「等級4で十分」はもう古い? 国の基準の現在地

2025年4月1日から、住宅を含む原則すべての新築建築物に省エネ基準(断熱では等級4相当)への適合が義務付けられました。さらに政府は、遅くとも2030年度までに、この義務の水準をZEH水準(断熱等級5相当)へ引き上げる方針を示しています。

出典: 国土交通省『今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第四次報告案)に向けた主な審議事項と議論の方向性』(2025年)

では、今建っている新築住宅はどのくらいの性能なのでしょうか。国土交通省の推計では、令和5年度の新築住宅のうち省エネ基準に適合していたのは89.9%、ZEH水準を満たしていたのは46.1%でした。

住宅の規模省エネ基準の適合率ZEH水準の適合率
大規模89.5%38.6%
中規模79.9%39.5%
小規模(戸建てなど)95.4%52.3%
全体89.9%46.1%

出典: 国土交通省『今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第四次報告案)に向けた主な審議事項と議論の方向性』(2025年)。令和5年度、建築着工統計調査やアンケート調査等に基づく国土交通省の推計

新築住宅の省エネ性能の適合率(令和5年度)
出典: 国土交通省(2025年)

小規模の住宅でも、ZEH水準に届いているのは半分ほど。2030年度に基準が引き上げられれば、今の等級4の家は「新築の最低ラインを下回る家」になります。売却や住み替えを考えたとき、これは無視できない差です。

編集部の考えをはっきり書いておきます。これから建てる新築なら、等級5は前提。予算が許せば等級6を検討する。等級7は寒冷地か、光熱費を極限まで抑えたい人向けの選択肢です。長く住む家の性能の考え方は長期優良住宅のメリットと条件も参考になります。

暖かさは快適さの話だけではない

消費者庁によると、令和6年に浴槽内での溺死・溺水で亡くなった人は7,776人。そのうち65歳以上が7,363人で、約95%を占めます。同じ年に交通事故で亡くなった65歳以上は2,103人でした。

出典: 消費者庁『年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!』(2025年12月23日)

浴室での事故は冬に多く、消費者庁は対策の最初に「脱衣所や浴室を前もって暖めておく」ことを挙げています。家の中の温度差を小さくする、という点で、断熱性能は暖房器具より根本的な手段です。

出典: 消費者庁『年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!』(2025年12月23日)

家全体の温度差を小さくする方法として、全館空調や床暖房を検討する人もいます。設備の向き不向きは全館空調のメリット・デメリットと床暖房の種類と費用で比べています。どちらも、断熱と気密が低いままでは効きが落ちる点は共通です。

高気密高断熱が得意な住宅会社を見分ける5つの質問

カタログに「高気密・高断熱」と書くことに、決まった基準はありません。だから、言葉ではなく仕組みを聞きます。打ち合わせで次の5つを尋ねてみてください。

  1. UA値は、この家の計算書を出してもらえますか(標準仕様の数値ではなく、自分の家の値)
  2. 気密測定は全棟で行っていますか。測るのは工事途中と完成時のどちらですか
  3. C値はいくつを目標にしていて、届かなかったときはどう対応しますか
  4. 換気は第1種と第3種のどちらで、フィルター掃除はどこから、どのくらいの頻度で行いますか
  5. 夏の日射を、窓ごとにどう遮る計画ですか

工事途中の測定は、壁をふさぐ前なので隙間が見つかっても直せます。完成時の測定は、住む状態での実力が分かります。両方やる会社もある。どちらかしかやらない場合、その理由をきちんと説明できるかを見てください。

住宅会社を絞り込む順番(編集部作成)
住宅会社を絞り込む順番(編集部作成)

目標とするC値の目安について、国の基準はありません。編集部としては、全棟測定のうえで1.0以下を約束できるかを最初の線引きにしてよいと考えています。ただ、ここは会社や専門家の間でも意見が分かれるところ。数字の大小より、測って結果を見せてくれるかどうかの方が大事です。

ハウスメーカーと工務店のどちらが向いているかは、会社の規模より、その会社の標準仕様と施工管理の仕組みで決まります。両者の違いは工務店とハウスメーカーの違いで比べました。見積もりを並べるときは注文住宅の見積もりの見方も役に立ちます。

費用は「建てる時」と「住んでから」を一緒に見る

断熱を上げた分の工事費は先に払い、光熱費の差は毎月少しずつ返ってきます。光熱費の差は、地域・家族構成・暮らし方・電気料金で大きく変わるため、一律の回収年数は示せません。設計段階で年間の暖冷房のエネルギー消費量を試算してもらい、仕様ごとに比べるのが現実的です。

太陽光発電を載せるかどうかも、同じ表で検討できます。国土交通省の推計では、令和5年度の新築戸建て住宅の太陽光発電設備の設置率は36.5%でした。組み合わせ方は新築の太陽光と蓄電池で整理しています。

出典: 国土交通省『今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第四次報告案)に向けた主な審議事項と議論の方向性』(2025年)

補助金で差額の一部を埋められる場合もあります。今年度の制度は住宅の省エネ補助金を確認してください。

ここが気になる

Q
石油ストーブやガスファンヒーターは使えませんか?
A

室内で燃やして排気もそのまま室内に出す暖房器具は、燃焼で水蒸気や汚れた空気が出るため、隙間の少ない家では結露や空気の汚れにつながりやすくなります。給気と排気を屋外で行うFF式の機種を選ぶか、使えるかどうかを設計段階で住宅会社に確認してください。

Q
24時間換気を止めると電気代は節約できますか?
A

節約できる額は小さく、空気のこもりや結露のリスクの方が大きくなります。2003年の建築基準法改正で機械換気設備は原則義務になっており、止めずに使う前提で設計されています。

Q
UA値が同じなら、どの会社で建てても同じ暖かさですか?
A

同じにはなりません。UA値は設計上の計算値で、実際の暖かさは隙間の量(C値)、窓の配置と日射、換気の方式でも変わります。UA値とあわせて気密測定の結果を確認してください。

Q
リフォームでも高気密高断熱にできますか?
A

断熱は窓の交換や内窓の設置、床下や天井の断熱材の追加で段階的に上げられます。気密を新築並みにするのは難しいことが多いため、効果の大きい窓から始めるのが現実的です。内窓の効果と費用は内窓の効果と費用で解説しています。

Q
寒冷地でなくても、高気密高断熱は必要ですか?
A

温暖な地域でも、冬の室温差や夏の冷房効率に効いてきます。国の義務基準も遅くとも2030年度までにZEH水準へ引き上げられる予定で、地域を問わず等級5は新築の前提になっていきます。

判断の目安

高気密高断熱のデメリットとされるものの多くは、換気・日射・湿気の計画と、現場の施工で防げます。数字で言えば、新築なら等級5以上、できれば6。C値は国の基準がないからこそ、全棟測定と結果の開示を条件にする。

そのうえで、窓を小さくしすぎていないか、夏の日射をどう遮るか、換気の掃除ができる場所にあるかを図面で確かめる。この順で比べれば、後悔の大半は契約前に潰せます。家づくり全体でつまずきやすい点は注文住宅の後悔ポイントにまとめました。

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参考・出典

参照日: 2026年11月3日

ノウハウ・その他建材情報
この記事を書いた人
AKITEKT編集長 伊藤 建

AKITEKT編集長として、建築業界に興味を持つライターとして、高品質な記事制作を手がけています。掲載するコンテンツは、業界の最新トレンドや実際の事例を調査し、正確で信頼性のある情報を読者に届けることを大切にしています。
『家づくりの未来を築く』をモットーに、家づくりを検討している方や建築業界に携わる方にとって役立つ情報を発信し続けています。

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