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市街化調整区域に家を建てる条件|許可の入口3つと買う前の確認5点

市街化調整区域に家を建てる条件 土地探し
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周りの相場よりずっと安い土地を見つけた。広告の隅に小さく「市街化調整区域」とある。この土地に、自分の家は建つのでしょうか。

答えは「原則は建たない。ただし、法律が決めた入口のどれかを通れば建つ」です。入口は人で決まるものと、土地の履歴で決まるものに分かれます。同じ土地でも、本家の子なら建てられて、他人が買うと建てられない。そんなことが普通に起こります。

都市計画法の条文と、横浜市・福岡県・北九州市が公開している審査の基準をもとに、入口の種類と、買う前に確かめることを順に追っていきます。

原則は「建たない」。例外の入口は法律に3つある

市街化調整区域は、都市計画法で「市街化を抑制すべき区域」とされた場所です。ここで家を建てるには、土地の造成を伴うなら開発許可(29条・34条)、造成を伴わない建築でも建築許可(43条)が要ります。43条は「何人も」で始まり、許可なしに建物を新築・改築・用途変更してはならないと定めています。

出典: e-Gov法令検索『都市計画法』

一方で、許可がそもそも要らない建物もあります。29条1項2号は、市街化調整区域で農業・林業・漁業を営む人の住まいを、開発許可の対象から外しています。整理すると、入口は次の3つです。

入口根拠の条文誰が・どんな場合許可
農林漁業者の住宅29条1項2号農業・林業・漁業を営む人の居住用不要
立地基準に当てはまる住宅34条各号(造成あり)/43条(造成なし)分家住宅、条例で指定された区域、線引き前からの宅地など必要
既存の家の建て替え43条(自治体の運用基準)同じ敷地で、同じ用途・ほぼ同じ規模に建て替える場合自治体により不要〜必要

出典: e-Gov法令検索『都市計画法』、北九州市『市街化調整区域における開発行為等の運用基準』

ここで言う「農業を営む人」は、家庭菜園の延長では当たりません。どの程度の耕作で当てはまるかは自治体の運用で決まるので、窓口での確認が前提です。

自分がどの入口に当たるか、図でたどる

福岡県は、戸建住宅の新築ができるかどうかを判定するフローを公開しています。最初に「許可が不要な建物か」を見て、次に「立地基準を満たすか」、最後に「区画や形を変える造成があるか」で開発許可か建築許可かが分かれる、という順番です。

市街化調整区域で戸建住宅が建つかの判定(福岡県の資料をもとに編集部作成)
市街化調整区域で戸建住宅が建つかの判定(福岡県の資料をもとに編集部作成)

同じ資料は、立地基準に当てはまる住宅の例を8つ挙げています。

福岡県が挙げる立地基準の例人で決まるか、土地で決まるか
災害危険区域などからの戸建住宅の移転事情(移転の必要)
地区計画に合う戸建住宅土地(地区計画の区域)
条例で指定された区域内の戸建住宅土地(条例区域)
分家住宅人(本家との関係)
既存集落内の自己用住宅人と土地の両方
収用に伴う転居の自己用住宅事情(公共事業)
大規模既存集落内の分家住宅・自己用住宅人と土地の両方
その他、市街化を促すおそれがない住宅(開発審査会に付議)個別に判断

出典: 福岡県『よくある質問49 市街化調整区域において戸建住宅の新築は可能か』。右列は編集部の分類

右の列に注目してください。外から土地を買う人が使える入口は、実は「土地で決まる」ものに限られます。分家住宅のように人で決まる入口は、その家族でなければ使えません。

「何親等まで建てられる?」──横浜市の分家住宅の基準

分家住宅は、市街化調整区域になる前から住んでいる本家の家族が、結婚などで独立して家を建てる場合の入口です。横浜市の開発審査会の提案基準第4号では、申請できる人を次のように定めています。

  • 本家の世帯主の子(養子縁組の場合を除く)
  • 本家の世帯主の兄弟姉妹(本家で生まれた人に限る)
  • それ以外で、民法725条の親族(6親等以内の血族、3親等以内の姻族)にあたり、本家で生まれ育ったことが住民票や戸籍の附票で分かる人

出典: 横浜市『開発許可の手引 立地基準編』(提案基準は2025年4月1日施行)

つまり「何親等まで」の答えは、横浜市の場合は6親等以内の血族と3親等以内の姻族。ただし本家で生まれ育ったことが条件に加わるので、親等だけで決まるわけではありません。

人以外の条件も細かく決まっています。

条件横浜市の提案基準第4号の内容
土地市街化調整区域になる前から本家の世帯が持っていた土地を、相続か贈与で取得する(本家の敷地内に建てる場合を除く)
ほかの土地本家も分家する世帯も、市街化区域に家を建てられる土地を持っていない
場所原則として本家のある集落の中かその周辺。勤め先が通勤圏内にある
敷地の広さ125㎡以上300㎡以下(条件により100㎡以上)
建物自分が住む一戸建て、または第一種低層住居専用地域で建てられる兼用住宅
必要な人結婚など独立した世帯をつくる理由があり、家を持っていない人

出典: 横浜市『開発許可の手引 立地基準編』(提案基準は2025年4月1日施行)

横浜市で最初に線引き(市街化区域と市街化調整区域の区分)が決定告示されたのは、1970年(昭和45年)6月10日です。「線引き前から」が何年何月を指すかは自治体ごとに違うため、横浜市も、申請地が市街化調整区域になった時点は市の担当課に問い合わせるよう案内しています。

出典: 横浜市『開発許可の手引 立地基準編』(提案基準は2025年4月1日施行)

親の土地に子の家を建てる計画は、二世帯住宅と並べて考える人が少なくありません。同じ敷地に建てるか別棟にするかで費用も税も変わるので、二世帯住宅の費用と間取りも合わせて読んでみてください。贈与で土地を受け取る場合の税は、住宅取得資金の贈与税の非課税で整理しています。

建て替えは「1年以内・同じ用途・1.5倍まで」が目安

すでに家が建っている土地なら、建て替えの道があります。北九州市の運用基準は、許可の要らない「改築」を次のように定義しています。

  • もとの建物を取り壊すか失ってから1年以内
  • 同じ敷地の中で、用途が同じ
  • 延べ面積がもとの建物の1.5倍以下(一戸建ての専用住宅は、1.5倍を超えても175㎡以下なら可)

出典: 北九州市『市街化調整区域における開発行為等の運用基準』

見落としやすいのは1つ目です。同じ基準は、建物を取り壊してから1年を過ぎた土地を「更地」とし、そこに建てる場合は「新築」として扱います。敷地を広げる場合も、延べ面積が1.5倍を超える場合も新築です。新築になれば、立地基準のどれかに当てはまらない限り建てられません。

出典: 北九州市『市街化調整区域における開発行為等の運用基準』

古家を解体して、しばらく更地のまま売りに出す。市街化区域ならよくある流れですが、市街化調整区域ではこれが建て替えの道を閉ざすことがあります。解体の前に、建て替えとして扱われる期限を役所で確認してください。

横浜市の提案基準第6号も、建て替えは原則として同じ敷地、同じ用途に限っています。そのうえで、線引き前から建物があった場合や、線引き後に適法に建てて築10年を過ぎた場合は、敷地を300㎡まで広げられるとしています。数字や条件は自治体ごとに違う。北九州市の175㎡、横浜市の300㎡は、あくまでその市の基準です。

出典: 横浜市『開発許可の手引 立地基準編』(提案基準は2025年4月1日施行)

解体費の相場や、建て替えとリフォームの分かれ目は建て替え費用と解体の相場にまとめています。2025年4月からは木造2階建ての大規模なリフォームにも建築確認が必要になったので、4号特例の縮小も確かめておくと安心です。

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外から買う人の本命は「条例区域」

土地の条件で決まる入口のうち、よそから土地を買う人にも開かれているのが34条11号と12号です。11号は、市街化区域に隣接・近接し、おおむね50以上の建物が連なっている地域のうち、都道府県や政令市などが条例で指定した区域での開発を認めるもの。12号は、条例で区域や目的、建物の用途を限って認めるものです。

出典: e-Gov法令検索『都市計画法』

条例区域かどうかは、土地の所在地の自治体が公開する区域図で確かめられます。指定がない自治体もあるので、「隣が住宅地だから建つはず」という推測は通用しません。

もう一つ、2022年4月1日に改正都市計画法が施行され、条例区域から災害の危険が高い土地が外されました。千葉市では、駅から1km圏内の11号の条例区域から、土砂災害警戒区域と、想定最大規模の降雨で浸水深3.0m以上となる浸水ハザードエリアが除外されています。同年に千葉県が指定した高潮浸水想定区域も、浸水深3.0m以上の部分は除外の対象です。

出典: 千葉市『都市計画法の一部改正に伴う市街化調整区域における開発許可基準の改正について』

改正前に条例区域として売られていた土地でも、今は建てられないことがある。土地の広告の日付が古いときは、とくに気をつけたい点です。

13号と14号は、使える人も場面も狭い

34条にはもう2つ、住宅に関わる号があります。13号は、線引きで市街化調整区域になった際に、自分が住む家を建てる目的で土地の権利を持っていた人が、線引きの日から6か月以内に届け出ていた場合の入口です。届け出た本人がその目的どおりに建てることが前提で、政令で決めた期間内に限られます。線引きから半世紀以上たった地域では、いま使える人はほとんどいないはずです。

出典: e-Gov法令検索『都市計画法』

14号は、ほかの号に当てはまらないものの、周りの市街化を促すおそれがなく、市街化区域で行うのが難しいか著しく不適当だと、開発審査会の議を経て知事などが認めるものです。分家住宅や建て替えの基準の多くは、この14号を受けて自治体ごとに作られた提案基準や付議基準に書かれています。横浜市の第4号や第6号もその一つ。だから同じ「分家住宅」でも、市や県が変われば条件が変わるのです。

出典: e-Gov法令検索『都市計画法』、横浜市『開発許可の手引 立地基準編』(提案基準は2025年4月1日施行)

中古住宅や土地を買う前に、手元にそろえたいもの

市街化調整区域の物件は、建物があるかどうかより、その建物が「どの許可で建ったか」が値打ちを左右します。分家住宅として許可された家は、横浜市の基準では増築や建て替えができるのは同じ申請者かその相続人だけ、とされています。許可を受けられる人を限った属人的な許可だからです。

出典: 横浜市『開発許可の手引 立地基準編』(提案基準は2025年4月1日施行)

第三者が分家住宅を買って住むには、用途の変更(属人性を外す手続き)が別に必要です。横浜市は提案基準第24号でこの用途変更の基準を設けていますが、許可を受けた本人や相続した家族が使い続けてきたことなどが条件になっています。購入の判断は、次の表の書類がそろってからでも遅くありません。

確かめることどこで分かるかなぜ必要か
市街化調整区域か、条例区域か市区町村の都市計画図・条例区域図入口があるかを決める
建物がどの許可で建ったか開発許可・建築許可の記録、建築確認の記録分家住宅など属人的な許可かを見分ける
線引き前からの宅地か登記事項証明書(法務局)、自治体の窓口宅地性の基準に当たるかの手がかり
農地が含まれていないか登記の地目、農業委員会農地なら農地転用の許可も必要
災害の区域にかかっていないかハザードマップ、土砂災害警戒区域図条例区域から外れている場合がある

表は横浜市の提案基準と千葉市の案内をもとに編集部が作成。農地転用の許可は、横浜市の提案基準でも申請の条件に挙げられています。

売る側に回ったときも同じです。買い手が建て替えられない物件は、どうしても買い手が限られます。私たちは、相続した調整区域の家を売るなら、先に役所でこの表の上2行を確かめ、その結果を不動産会社に伝えるところから始めるのが近道だと考えています。

土地の購入では仲介手数料や登記の費用もかかります。総額の見積もり方は土地購入の諸費用と仲介手数料で計算しました。

許可の手数料は数千円から。高くつくのは準備のほう

許可そのものの手数料は、自治体の条例で決まっています。北九州市の場合、開発許可を受けない市街化調整区域内の土地で家を建てる43条の建築許可は、敷地0.1ha(1,000㎡)未満で6,900円です。

敷地の面積43条の建築許可の手数料(北九州市)
0.1ha未満6,900円
0.1〜0.3ha未満18,000円
0.3〜0.6ha未満39,000円
0.6〜1ha未満69,000円
1ha以上97,000円

出典: 北九州市『都市計画法に係る手数料』

北九州市・43条の建築許可の手数料(敷地面積別)
出典: 北九州市『都市計画法に係る手数料』

戸建ての敷地なら、ほとんどが一番左の6,900円の欄に入ります。同じページには、建物の制限を外すための41条2項ただし書の許可が46,000円、予定と違う建物を建てる42条1項ただし書の許可が26,000円とあります。

出典: 北九州市『都市計画法に係る手数料』

実際の負担を大きくするのは、手数料よりも図面や書類の準備です。申請書の作成を設計事務所や行政書士に頼む費用、農地転用の手続き、道路や排水の整備。これらは土地ごとに違い、公的な相場もありません。

そのため編集部は、見積もりを取る前に建築会社へ「調整区域の許可申請を扱ったことがあるか」を最初に聞くことをすすめています。慣れた会社は事前相談の段取りから入るので、無駄な図面代がかかりにくい。横浜市も、提案基準に当てはまる場合でも事前相談をするよう求めています。

出典: 横浜市『開発許可の手引 立地基準編』(提案基準は2025年4月1日施行)

ここが気になる、という声に

Q
地目が「宅地」なら、市街化調整区域でも家を建てられますか?
A

地目だけでは決まりません。横浜市の提案基準は、線引きで市街化調整区域になった時点から申請時までの土地の状況(線引き前に建物があったか、造成の手続きがあったか)で「宅地性」を判断しています。登記の地目は手がかりの一つで、許可が要るかどうかは自治体の窓口で確認します。

Q
「無指定」や「非線引き」の土地とは何が違いますか?
A

市街化区域と市街化調整区域の区分(線引き)がない都市計画区域のことです。都市計画法29条では、こうした区域で政令が定める規模未満の開発は許可が要りません。43条の建築許可も市街化調整区域だけの決まりなので、制限のかかり方がまったく違います。

Q
建築許可が出たら、建築確認は要りませんか?
A

要ります。都市計画法の許可は「その場所に建ててよいか」の判断で、建物の構造や安全性を確かめる建築基準法の建築確認とは別の手続きです。

Q
家を建てないなら、家庭菜園や駐車場として使えますか?
A

都市計画法43条が許可を求めているのは、建物の新築・改築・用途変更です。建物を建てない使い方そのものは43条の対象ではありません。ただし土地が農地なら、駐車場などにするには農地法の転用の手続きが別に必要です。物置や管理小屋のように建物を伴う場合は、許可の要否を自治体に確認してください。

Q
市街化区域と市街化調整区域にまたがる土地はどうなりますか?
A

扱いは自治体によって違います。横浜市は「市街化調整区域を一部含む開発行為」の提案基準(第32号)を別に設けています。一つの敷地でも、調整区域の部分には立地の基準がかかると考えて、早めに窓口で相談してください。

判断の目安

本家の家族として親の土地に建てるなら、分家住宅の基準を読み込む価値があります。外から土地を買うなら、条例区域に入っているか、建て替えができる既存の家かの2択。どちらにも当てはまらない安い土地は、家を建てる土地としては見送るのが無難です。

ここは意見が分かれるところですが、私たちは「許可が下りる見込みです」という口頭の説明だけで契約に進むことはすすめません。売買契約に、許可が下りなければ白紙に戻す特約を入れられるか。そこまで確かめてからでも、土地は逃げにくいものです。

予算の全体像は注文住宅の予算と年収倍率から、土地の価格帯は千葉市6区の土地相場のような地域ごとの相場から見当をつけられます。土地の決済と建築の支払いがずれる場合はつなぎ融資も選択肢に入ります。

どの会社に頼むか迷ったら、中立の窓口に無料相談する

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参考・出典

参照日: 2026年10月31日

土地探し
この記事を書いた人
AKITEKT編集長 伊藤 建

AKITEKT編集長として、建築業界に興味を持つライターとして、高品質な記事制作を手がけています。掲載するコンテンツは、業界の最新トレンドや実際の事例を調査し、正確で信頼性のある情報を読者に届けることを大切にしています。
『家づくりの未来を築く』をモットーに、家づくりを検討している方や建築業界に携わる方にとって役立つ情報を発信し続けています。

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