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【2025年最新】住宅完成保証とは?工務店倒産から資産を守る全知識!主要3制度の比較と賢い選び方

家づくりの知識

夢のマイホーム建築。それは多くの人にとって、人生で最も大きな買い物であり、希望に満ちた一大プロジェクトです。しかし、その夢が、建築を依頼した工務店の倒産という予期せぬ事態で、一瞬にして悪夢に変わってしまうリスクがあることをご存知でしょうか。

「契約金として支払った数百万円が戻ってこない…」

「基礎工事が終わったまま、無人の現場が放置されている…」

「追加で数百万払わないと工事を再開できないと言われた…」

このような事態は、決して他人事ではありません。近年、資材価格の高騰や人手不足などを背景に、建設業者の倒産は増加傾向にあります。もし、あなたが契約した工務店が倒産してしまったら、金銭的・精神的な苦痛は計り知れず、最悪の場合、マイホーム計画そのものが頓挫してしまう可能性すらあるのです。

そんな最悪の事態から、あなたの大切な資産と家族の夢を守るための最強のセーフティネットが「住宅完成保証制度」です。

しかし、この制度は「ただ加入すれば安心」という単純なものではありません。保証には種類があり、その仕組みによってあなたの資産が守られるレベルは全く異なります。

この記事では、数多くの住宅建築に携わってきた専門家の視点から、住宅完成保証制度の全体像を徹底的に解説します。単なる制度の紹介に留まらず、主要な制度の決定的な違い、専門家だけが知る注意点や落とし穴、そして保証だけに頼らない「最強のリスク対策」まで、あなたの家づくりを成功に導くための全知識を凝縮しました。

この記事を最後まで読めば、あなたは以下のことを手に入れられます。

  • 工務店倒産という悪夢のシナリオと、それを回避する必要性がわかる
  • 完成保証の「保険タイプ」と「エスクロータイプ」という決定的な違いを理解できる
  • 主要な3つの保証制度(ハートシステム・まもりすまい・住宅あんしん保証)を比較検討し、自分に合ったものを選べる
  • 保証だけに頼らず、自ら倒産リスクを回避するための具体的な方法がわかる
  • 建築会社と対等に渡り合い、賢明な判断を下すための確かな武器が手に入る

家づくりは情報戦です。正しい知識を身につけ、後悔のない選択をしましょう。

  1. 1. そもそも住宅完成保証制度とは?悪夢の「泣き寝入り」を防ぐ最後の砦
    1. 1.1. 住宅完成保証制度の核心的役割
    2. 1.2. 保証がない場合に起こりうること【本当にあった怖い話】
      1. シナリオ1:前払い金の喪失
      2. シナリオ2:工事の無期限中断と資産価値の暴落
      3. シナリオ3:想定外の追加費用の発生
      4. シナリオ4:絶望的な精神的・時間的負担
  2. 2.【本記事で最も重要】完成保証の2大タイプを徹底比較!「保険タイプ」と「エスクロータイプ」の違いとは?
    1. 2.1. タイプ1:保険タイプ(損害を”事後”に補填する)
    2. 2.2. タイプ2:エスクロータイプ(損害の発生を”未然”に防ぐ)
    3. 2.3.【一目瞭然】2大タイプの比較まとめ表
  3. 3. 主要な住宅完成保証制度を個別に徹底解説【3社比較】
    1. 3.1. ハートシステム(ハウス・デポ・ジャパン)|エスクロータイプの決定版
    2. 3.2. 住宅保証機構(まもりすまい)|公的信頼性が魅力
    3. 3.3. 住宅あんしん保証|つなぎ融資との連携がスムーズ
  4. 4. 住宅完成保証の「落とし穴」と専門家が教える5つの注意点
    1. 注意点1:保証は万能ではない!「保証範囲の限界」を理解する
    2. 注意点2:保証料は誰が払う?費用の目安と確認方法
    3. 注意点3:「住宅瑕疵担保責任保険」との違いを明確に理解する
    4. 注意点4:保証が使えないケースもある
    5. 注意点5:施主が個人で直接申し込むことはできない
  5. 5. 完成保証だけに頼らない!プロが実践する最強の倒産リスク対策
    1. 対策1:会社の健全性を「魔法の質問」と「危険な兆候」で見抜く
      1. 魔法の質問:「御社で利用できる住宅完成保証制度はありますか?具体的にどの制度ですか?」
      2. 危険な兆候:出来高に見合わない多額の前払い金の要求
    2. 対策2:「支払いスケジュール」を見直す勇気を持つ【究極のリスク対策】
      1. 従来のリスクが高い支払い方法(例:3回払い)
      2. 究極の対策:支払いの細分化(例:5回~6回払い)
  6. 6. 住宅完成保証に関するよくある質問(FAQ)
  7. 7. まとめ:知識を武器に、後悔のない家づくりを

1. そもそも住宅完成保証制度とは?悪夢の「泣き寝入り」を防ぐ最後の砦

まず、このセクションでは「住宅完成保証制度」がどのような役割を果たすのか、その基本的な概念を解説します。そして、もしこの制度がなかった場合に、施主(家を建てる人)がどのような深刻なリスクに直面するのかを具体的に明らかにします。制度の存在意義を深く理解することが、適切な備えの第一歩となります。

1.1. 住宅完成保証制度の核心的役割

住宅完成保証制度とは、一言でいえば「建築を依頼した工務店が倒産などの理由で工事を続けられなくなった場合に、第三者機関が介入し、住宅の完成を金銭面や工事の引き継ぎ面でサポートしてくれる仕組み」 のことです。

通常、家づくりでは、契約時、着工時、上棟時、完成時など、工事の進捗に合わせて数回に分けて代金を支払います。しかし、万が一工務店が倒産すると、あなたが支払ったお金が目的の工事に使われず、工事も途中で止まってしまうという最悪の事態が起こり得ます。

この制度は、そんな万が一の事態に備え、施主の損害を最小限に抑え、住宅の完成までを支えるための重要なセーフティネットなのです。

1.2. 保証がない場合に起こりうること【本当にあった怖い話】

もし、この保証がないまま工務店が倒産してしまったら、施主はどのような状況に追い込まれるのでしょうか。これは決して大げさな話ではなく、実際に多くの方が涙をのんできた現実です。YouTubeなどで多くの工務店経営者が警鐘を鳴らす、具体的なシナリオは以下の通りです。

シナリオ1:前払い金の喪失

契約金や中間金として支払った数百万円、場合によっては一千万円を超える大金が、一切返ってこないリスクがあります。倒産した会社に返済能力はほとんどなく、弁護士に相談しても「回収はほぼ不可能」と言われるケースがほとんど。支払ったお金は事実上、消滅してしまいます。

シナリオ2:工事の無期限中断と資産価値の暴落

基礎工事だけ、あるいは骨組みが建っただけの状態で工事は完全にストップします。雨風にさらされた建材は劣化し、現場は「建築途中のゴミ」と化してしまうことも。再開の目処が立たないまま放置されれば、土地の資産価値まで下げてしまう悲惨なケースも少なくありません。

シナリオ3:想定外の追加費用の発生

工事を引き継いでくれる新しい工務店を探し出すだけでも大変ですが、そこから工事を再開するには、当初の予算を大幅に超える追加費用(増嵩工事費用)が必要になることがほとんどです。

  • 中断した現場の調査・確認費用
  • 足場の再設置費用
  • 劣化した建材の交換費用
  • 新しい工務店の経費や利益

これらの費用が積み重なり、数百万円単位の追加出費を余儀なくされることも珍しくありません。

シナリオ4:絶望的な精神的・時間的負担

「泣き寝入り」しか選択肢がないかもしれないという絶望感。そして、問題解決のために弁護士に相談したり、複数の工務店と交渉したりと、膨大な時間と労力を費やすことになります。夢のマイホーム計画が、終わりの見えないトラブル対応へと変わってしまうのです。住宅ローンだけが残り、家は建たない…そんな最悪の状況も起こりうるのです。

このように、住宅完成保証は万一の事態に備えるための極めて重要な制度です。しかし、「完成保証」と名の付く制度ならどれも同じというわけではありません。実は、その仕組みには決定的な違いがあり、あなたの資産を守るレベルが大きく変わってきます。次のセクションでは、その核心的な違いを徹底的に解き明かしていきます。

2.【本記事で最も重要】完成保証の2大タイプを徹底比較!「保険タイプ」と「エスクロータイプ」の違いとは?

このセクションが、本記事で最も重要な部分です。住宅完成保証制度には、大きく分けて「保険タイプ」と「エスクロータイプ」という2つの仕組みが存在します。

この違いを理解することが、あなたにとって最適な保証を選び、リスクを最小化する上で絶対に欠かせません。この二つの違いは、例えるなら「交通事故でケガをした後の治療費を一部補填してくれる保険」と「そもそも事故に遭わないように、優秀なトレーナーが運転に並走してくれるプログラム」ほどの差があります。

この本質的な違いを理解することが、あなたの資産を鉄壁に守る上で最も重要な知識となります。

2.1. タイプ1:保険タイプ(損害を”事後”に補填する)

多くの完成保証制度が採用しているのが、この「保険タイプ」です。

  • お金の流れ:施主は、契約に基づき建築費用を「工務店へ直接」支払います。これは従来通りの一般的な方法です。
  • 保証の仕組み:万が一、工務店が倒産した場合、保証機関(保険会社)が施主の金銭的損失の一部を「保険金」として支払う仕組みです。
  • 保証の対象:主に、工事再開によって発生する追加費用である「増嵩工事費用」や、工事の出来高以上に支払ってしまった「前払金の損失」が保証の対象となります。
  • 倒産時の状況:工務店が倒産した時点で、工事は完全に中断します。保険金を受け取った後、施主は自らの責任で工事を引き継いでくれる別の工務店(代替施工業者)を探す必要があります。その過程で、仕様の変更を余儀なくされたり、工期が大幅に延長されたり、保証額を超える追加費用が発生する可能性が高いのが現実です。

【保険タイプのメリット・デメリット】

  • メリット
    • 多くの工務店が採用しており、選択肢が多い。
    • 公的な機関が運営している場合もあり、信頼性が高い。
  • デメリット
    • 保証額に上限がある(例:請負金額の20%など)。損害額が上限を超えた分は自己負担となる。
    • 工事は一度完全にストップしてしまう。
    • 代替の工務店は自分で探さなければならない
    • 工事再開までに時間がかかり、精神的負担が大きい。

2.2. タイプ2:エスクロータイプ(損害の発生を”未然”に防ぐ)

一方、施主にとってより手厚い保護が期待できるのが「エスクロータイプ」です。

  • お金の流れ:施主は、建築費用を工務店ではなく、「中立な第三者機関(保証会社)へ」預けます。この第三者預託の仕組みを「エスクロー」と呼びます。保証会社は、工事の進捗状況(出来高)を専門家がチェックしながら、その都度、工務店や実際に工事を行う協力会社・職人へ直接支払います。
  • 保証の仕組み:建築資金そのものが、倒産リスクのある工務店を経由せず、第三者機関によって安全に管理(保全)されています。これにより、施主が支払ったお金が工務店の運転資金などに流用されるリスクが根本から排除されます。
  • 倒産時の状況:万が一工務店が倒産しても、建築資金は保証会社が管理しており、協力会社や職人への支払いは滞りません。そのため、工事の中断を最小限に抑えることが可能です。多くの場合、これまで工事を担当してきた同じ協力会社・職人がそのまま工事を継続できるため、スムーズな引き継ぎが実現し、追加費用や工期の遅延といったリスクを大幅に低減できます。

【エスクロータイプのメリット・デメリット】

  • メリット
    • 支払った建築資金が全額保全される
    • 工務店の資金流用リスクがゼロになる。
    • 倒産時も工事がスムーズに引き継がれやすい。
    • 追加費用や工期遅延のリスクが極めて低い。
    • 施主の精神的・時間的負担が圧倒的に少ない。
  • デメリット
    • 採用している工務店が「保険タイプ」に比べて少ない。
    • 一部の金融機関の住宅ローン(特につなぎ融資)との連携に確認が必要な場合がある。

2.3.【一目瞭然】2大タイプの比較まとめ表

二つのタイプの特徴を、以下の表で簡潔にまとめました。この違いは決定的です。

比較項目保険タイプエスクロータイプ
お金の支払先工務店へ直接第三者機関(保証会社)
お金の管理工務店第三者機関
資金流用リスク高いゼロ
前払金の保全保証限度額内でのみ全額保全される
倒産時の工事完全に中断するスムーズに引き継がれやすい
代替業者の選定施主が自分で行う保証会社がサポート・または不要
追加費用のリスク高い低い
施主の負担大きい(精神的・時間的・金銭的)小さい
保証の本質損害の事後補填損害の未然防止
代表的な制度住宅保証機構(まもりすまい)住宅あんしん保証ハートシステム(ハウス・デポ・ジャパン)

この表が示す通り、施主のリスクを根本から取り除くことを目指すのがエスクロータイプであり、その差は歴然です。

この2つのタイプの根本的な違いを理解した上で、次に、日本で利用できる主要な保証制度が、それぞれどのようなサービスを提供しているのか、具体的な内容を詳しく見ていきましょう。

3. 主要な住宅完成保証制度を個別に徹底解説【3社比較】

ここでは、実際にあなたが工務店選びの際に検討することになる、日本の主要な住宅完成保証制度を個別に掘り下げていきます。各制度が持つ独自の強みや特徴、そして注意点を把握することで、ご自身の家づくり計画や価値観に最もフィットするパートナー(保証制度)を見つける手助けとなるはずです。

3.1. ハートシステム(ハウス・デポ・ジャパン)|エスクロータイプの決定版

  • タイプエスクロータイプ
  • 最大の特徴:日本では数少ない「エスクロー(第三者預託)」の仕組みを採用した保証制度である点。施主の建築資金を第三者機関であるハウス・デポ・ジャパンが直接預かり、工事の出来高に応じて支払い管理を行います。
  • メリット
    • 資金保全性が最も高い:施主が支払った建築資金が、工務店の運転資金などに不正利用されるリスクを根本から防ぎます。
    • 工事継続性が高い:万が一の倒産時も、資金が保全されているため工事が止まらずにスムーズに引き継がれます。精神的・金銭的負担が極めて少ないという絶大な安心感があります。
    • 透明性の確保:お金の流れが透明化されるため、クリーンな経営をしている工務店の証明にもなります。
  • 注意点
    • つなぎ融資との連携:一部の金融機関では、住宅ローンとの連携(特に、住宅完成までの間に必要資金を一時的に借りる「つなぎ融資」)に事前の確認や調整が必要です。利用を検討する際は、必ず事前に金融機関へ「ハートシステムを利用する」と伝え、手続きについて確認することが重要です。
  • コンサルタントの視点:
    「とにかく資産を守ることを最優先したい」「万が一の際、面倒な手続きや交渉を避けたい」と考える施主にとって、最も安心度の高い、まさに理想的な選択肢と言えます。この制度を導入している工務店は、それだけで資金管理の透明性に対する意識が高いと評価できます。

3.2. 住宅保証機構(まもりすまい)|公的信頼性が魅力

  • タイプ保険タイプ
  • 特徴:国土交通省が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人であり、その公的な信頼性の高さが大きな特徴です。
  • 保証内容:保証範囲が異なる2つのプランから選択できます。
    • Aタイプ:増嵩工事費用のみを保証。
    • Bタイプ:増嵩工事費用に加えて、前払金の損害も保証。(Bタイプを選ぶのが一般的です)
  • メリット
    • 厳しい登録審査:この制度に登録できる工務店は、経営状態などに関する厳しい審査基準をクリアする必要があります。そのため、この保証を利用できる工務店は、比較的経営が安定した優良業者に絞られる傾向があります。
    • 全国的な知名度と実績:広く普及しており、多くの工務店で利用可能です。
  • 注意点
    • 保険タイプであることの限界:保証額には上限(請負金額の20%または1,100万円のいずれか低い額)があり、損害の全額が補填されるわけではありません。また、倒産時には工事が中断し、代替業者は施主自身が探す必要があります。
  • コンサルタントの視点:
    エスクロータイプほどの強力な保全性はありませんが、この保証を提示できる工務店は、それだけで一定の経営審査をクリアした『お墨付き』を得ていると判断できる一つの材料になります。「最低限のセーフティネットとして備えたい」という場合の有力な選択肢です。

3.3. 住宅あんしん保証|つなぎ融資との連携がスムーズ

  • タイプ保険タイプ
  • 特徴:住宅の欠陥に備える「住宅瑕疵保険」とセットで提供されることが多く、事業者にとって利用しやすいパッケージになっています。
  • メリット
    • つなぎ融資への対応力:「つなぎ融資」への対応を強みとしており、住宅ローンを利用して注文住宅を建てる多くの施主にとって、金融機関との手続きがスムーズに進むという利便性の高さがあります。
    • 幅広いサービス展開:新築住宅だけでなく、中古住宅の売買やリフォーム工事にも対応した幅広い保証サービスを提供しており、住宅に関する総合的な安心をサポートしています。
  • 注意点
    • 保険タイプであること:まもりすまい同様、保証額には上限(請負金額の20%または1,100万円のいずれか低い額)があり、工事中断や代替業者選定のリスクは残ります。
  • コンサルタントの視点:
    「住宅ローン(特につなぎ融資)の手続きを円滑に進めたい」という施主にとっては、現実的な選択肢となりやすい制度です。金融機関からこの保証の利用を勧められるケースもあります。

これらの魅力的な制度にも、実は知っておかなければならない「落とし穴」が存在します。「保証に入っているから大丈夫」と油断するのは危険です。次のセクションでは、専門家だからこそ指摘できる、見落としがちな注意点を詳しく解説します。

4. 住宅完成保証の「落とし穴」と専門家が教える5つの注意点

「完成保証に入っているから、絶対に安心だ」――もしそう考えているなら、その認識は非常に危険です。このセクションでは、保証制度が決して万能ではないという現実を直視し、制度の限界や見落としがちなコストについて解説します。これらの知識は、あなたが賢い消費者として、正しくリスクを判断するために不可欠です。

注意点1:保証は万能ではない!「保証範囲の限界」を理解する

完成保証制度、特に「保険タイプ」には、必ず保証の限界が存在します。万能薬ではない理由を具体的に見ていきましょう。

  • 限定的な保証額:最も注意すべき点は、保証される金額には上限が定められているということです。倒産によって生じた損害の全額が補填されるわけではありません。一般的には、工事請負金額の20%または1,100万円のいずれか低い方が上限とされており、それを超える損害は自己負担となります。「3,000万円の家なら、保証されるのは最大でも600万円」と認識しておく必要があります。
  • 「出来高」以上の過払いは自己責任:これは最大のリスクポイントです。多くの工務店経営者が警鐘を鳴らしており、特にYouTubeチャンネル『山本社長のぶっちゃけ家づくりch』では、この『出来高以上の過払い』が施主の最大のリスクになると指摘しています。完成保証は、工事の進捗(出来高)に応じて適正な金額を支払っているという前提で設計されています。もし工務店の言うがままに、出来高を大幅に超える支払いをしていた場合、その過払い分は保証の対象外となる可能性が高いのです。

注意点2:保証料は誰が払う?費用の目安と確認方法

この安心を得るためのコストは、誰が負担するのでしょうか。

  • 負担者:住宅完成保証を利用するための費用(保証料・保険料)は、施主が負担するのが一般的です。これは、万が一の際に利益(保証)を得るのが施主であるためです。
  • 費用の目安:費用の相場は、工事請負金額の0.5%~1.5%程度が目安です。例えば、3,000万円の住宅であれば約15万円~45万円が相場となります。
  • 確認方法:この費用は、工務店からの見積書の「諸経費」などに含まれていることが多いです。契約前に「完成保証の費用はどこに記載されていますか?」「具体的な金額はいくらですか?」と必ず確認しましょう。

注意点3:「住宅瑕疵担保責任保険」との違いを明確に理解する

多くの人が混同しがちな二つの制度ですが、目的も加入義務も全く異なります。この違いは必ず押さえておきましょう。

制度名住宅完成保証制度住宅瑕疵担保責任保険
目的工事中の工務店倒産に備える引渡し後10年間の建物の欠陥に備える
加入義務任意(施主と工務店の判断による)義務(法律で全ての新築住宅に必須)
保証対象建築資金の損失、追加工事費用構造耐力上主要な部分、雨水の浸入

「うちは瑕疵保険に入っているから大丈夫ですよ」と言う営業担当者がいたら要注意です。それは倒産リスクへの備えにはなりません。「完成保証」と「瑕疵保険」は全くの別物と覚えておきましょう。

注意点4:保証が使えないケースもある

完成保証制度に加入していても、以下のようなケースでは保証の対象外となることがあります。

  • 施主都合による契約解除
  • 地震、噴火、洪水、津波などの自然災害による工事中断
  • 工務店が「倒産」ではなく「夜逃げ」などで事業を放棄し、法的な倒産手続きがされない場合(※保証制度によっては対応可能な場合もあります)

契約前に、どのような場合に保証が適用されないのか、免責事項をしっかりと確認しておくことが重要です。

注意点5:施主が個人で直接申し込むことはできない

「この工務店は完成保証に対応していないから、自分で入ろう」ということは基本的にできません。これらの制度は、事前に保証会社の審査を通過し、登録を済ませた建築会社(工務店)を通じて利用する仕組みになっています。したがって、どの保証制度が利用できるかは、どの工務店を選ぶかにかかっているのです。

ここまでで、保証制度の仕組みと限界をご理解いただけたと思います。しかし、守りを固めるだけがリスク対策ではありません。より能動的に、そもそも倒産のリスクを回避するための「最強の対策」が存在します。次のセクションで、プロが実践する具体的な方法を解説します。

5. 完成保証だけに頼らない!プロが実践する最強の倒産リスク対策

住宅完成保証は、万が一に備える「転ばぬ先の杖」です。しかし、最も重要なのは「そもそも倒産リスクの低い会社を選び、安全な契約を結ぶこと」に他なりません。このセクションでは、保証という受け身の対策だけでなく、施主が自ら実行できる「攻め」のリスク管理術を解説します。これらの知識を実践すれば、あなたは安心して家づくりを進めることができるでしょう。

対策1:会社の健全性を「魔法の質問」と「危険な兆候」で見抜く

契約前の段階で、工務店の経営状態を推し量るための、シンプルかつ効果的なアクションがあります。

魔法の質問:「御社で利用できる住宅完成保証制度はありますか?具体的にどの制度ですか?」

これは『モリシタ・アット・ホーム』や『永見工務店』といった複数の工務店経営者がYouTubeで提唱する、シンプルながら非常に効果的なスクリーニング手法です。

もし「はい、利用できます。うちは〇〇(制度名)です」という明確な答えが返ってきたら、それは一つの安心材料になります。なぜなら、完成保証制度に登録するためには、保証会社による財務状況の審査をクリアする必要があるからです。つまり、この制度を利用できる会社は、第三者機関から「経営状態に大きな問題はない」と判断されている可能性が高いのです。

逆に、「うちは大丈夫だから不要です」「その分、費用が高くなりますよ」などと曖昧な答えや、利用に否定的な回答をする会社は、少し慎重に検討する必要があります。

危険な兆候:出来高に見合わない多額の前払い金の要求

契約の初期段階で、「資材価格が高騰しているので、材料を先行確保するために…」「キャンペーン中なので、今ご契約金を入れていただければ…」といった理由で、工事の進捗に見合わない多額の前払い金(契約金や着工金)を要求してくる会社には注意が必要です。

これは、『永見工務店』の解説にもある通り、会社の資金繰りが悪化している危険なサインである可能性があります。健全な財務状況の会社であれば、自社の資金である程度、資材を確保できるはずです。

対策2:「支払いスケジュール」を見直す勇気を持つ【究極のリスク対策】

これは、YouTubeチャンネル『山本社長のぶっちゃけ家づくりch』でも提唱されている、最も効果的かつ究極のリスク対策です。それは、支払い回数を細分化し、常に「支払い累計額」と「工事の出来高」を近づけることです。

従来のリスクが高い支払い方法(例:3回払い)

  • 契約時(進捗0%):支払い 30% → 【危険】30%の過払い状態!
  • 上棟時(進捗30%):支払い 40%(累計70%)→ 【最大リスク】40%もの過払い状態!
  • 完成時(進捗100%):支払い 30%(累計100%)

上記のように、従来の支払い方法では工事の進捗と支払額に大きな乖離が生まれ、特に上棟時には施主のリスクが最大化します。このタイミングで倒産されると、甚大な被害を受けることになります。

究極の対策:支払いの細分化(例:5回~6回払い)

これを回避するため、以下のような支払いスケジュールを工務店に交渉してみましょう。

  • 契約時(進捗0%):支払い 10%
  • 着工時(進捗5%):支払い 20%(累計30%)
  • 上棟時(進捗30%):支払い 20%(累計50%)
  • 外壁・屋根工事完了時(進捗60%):支払い 20%(累計70%)
  • 内装工事完了時(進捗80%):支払い 20%(累計90%)
  • 完成・引渡し時(進捗100%):支払い 10%(累計100%)

このように、常に支払い額と工事の出来高を近づけることで、万が一の際の損失を限りなくゼロに近づけることができます。これこそが、施主が自ら作り出す「完璧な完成保証」なのです。

「こんなこと言ったら、契約を切られるのでは…」と不安に思うかもしれません。しかし、健全な経営をしている工務店であれば、施主のリスクを理解し、交渉に応じてくれるはずです。むしろ、この交渉を頭ごなしに否定するような会社こそ、避けるべき相手かもしれません。

6. 住宅完成保証に関するよくある質問(FAQ)

この記事の締めくくりとして、住宅完成保証に関して多くの方が疑問に思う点をQ&A形式で簡潔に解説します。ここでの知識が、あなたの最後の不安を解消する手助けとなれば幸いです。

Q
大手ハウスメーカーなら完成保証は不要ですか?
A

倒産リスクがゼロとは言い切れませんが、経営体力のある大手企業は、保険に頼らず自社の資金(供託金制度など)で倒産時のリスクに備えている(これを「自社保証」と呼びます)場合が多く、第三者の完成保証制度を利用しないこともあります。しかし、企業の規模だけで安心するのではなく、契約前に「万が一倒産した場合、どのような保証体制になっているのか」を必ず書面で確認することが重要です。

Q
完成保証の利用を工務店に伝えたら、嫌がられませんか?
A

誠実な工務店であれば、嫌がることはありません。むしろ、施主のリスク管理意識の高さを評価してくれるはずです。完成保証制度の利用は、施主と工務店の双方にとって、安心して工事を進めるための信頼の証となります。もし利用を渋るようなら、その理由を明確に確認しましょう。

Q
もし工務店が倒産してしまったら、具体的に何をすればいいですか?
A

まずは慌てずに、加入している完成保証制度の運営会社に連絡してください。その後の手続き(保証金の請求、代替業者の選定サポートなど)について案内があります。契約書や支払い領収書などの書類は、絶対に紛失しないように保管しておきましょう。弁護士など専門家への相談も視野に入れると良いでしょう。

Q
つなぎ融資と完成保証の関係について詳しく教えてください。
A

つなぎ融資は、住宅ローンが実行されるまでの間、着工金や中間金の支払いのために一時的に借りるローンのことです。金融機関によっては、このつなぎ融資の条件として、住宅完成保証への加入を求める場合があります。特に「ハートシステム」のようなエスクロータイプを利用する場合、お金の流れが通常と異なるため、融資を申し込む金融機関へ事前に相談・確認しておくことが不可欠です。

Q
リフォーム工事でも完成保証は使えますか?
A

はい、利用できます。リフォーム工事専門の完成保証制度(例:「リフォームかし保険」に付帯する保証など)があります。工事金額が大きくなる大規模リフォームやリノベーションを行う際には、新築同様に完成保証の利用を検討することをおすすめします。

7. まとめ:知識を武器に、後悔のない家づくりを

最後に、この記事で解説した最も重要なポイントを振り返りましょう。

  • 住宅完成保証は、工務店倒産という万一のリスクから、あなたの資産と夢を守る必須のセーフティネットです。
  • 保証には「保険タイプ」と「エスクロータイプ」があり、資金が全額保全され、工事も継続しやすい後者の方が、施主にとって圧倒的に安全性が高いことを理解するのが最重要です。
  • 主要な制度として「ハートシステム(エスクロー)」「まもりすまい(保険)」「住宅あんしん保証(保険)」があり、それぞれの特徴を理解して選びましょう。
  • 保証は万能ではなく、出来高を超える過払い金は保証されないなどの限界を知る必要があります。
  • 最強のリスク対策は保証制度に頼り切らず、支払いスケジュールを細分化するという主体的な契約交渉です。

家づくりは、人生で最も心躍るイベントの一つです。しかし、その裏には大きなリスクも潜んでいます。そして、そのリスクからあなたとあなたの家族を守る最大の武器は「正しい知識」です。

本記事で得た知識を武器に、建築会社と対等な立場で話し合い、契約書に印鑑を押す前に

  1. 「利用できる完成保証制度の種類は何か?」
  2. 「支払いスケジュールを、出来高に合わせた形に見直せないか?」

この2点について、必ず確認と交渉を行ってください。

それが、あなたの理想のマイホームと、何よりも大切な資産を守るための、最も確実な一歩となるのです。あなたの家づくりが、最高の形で実現することを心から願っています。

家づくりの知識ノウハウ・その他
この記事を書いた人
AKITEKT編集長 伊藤 建

AKITEKT編集長として、建築業界に興味を持つライターとして、高品質な記事制作を手がけています。掲載するコンテンツは、業界の最新トレンドや実際の事例を調査し、正確で信頼性のある情報を読者に届けることを大切にしています。
『家づくりの未来を築く』をモットーに、家づくりを検討している方や建築業界に携わる方にとって役立つ情報を発信し続けています。

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