「最近、電気代やガス代がすごく上がった…」
「夏はエアコンが効きにくくて暑いし、冬は窓際がひんやりして寒い…」
「窓の結露がひどくて、カビや掃除が大変…」
このようにお住まいのことでお悩みではありませんか? その根本的な原因は、「窓の断熱性能の低さ」にあるかもしれません。
実は、日本の住宅の多くは、窓から大量の熱が出入りしています。夏の暑さの約7割、冬の暖かさの約6割が窓を通じて失われているのです。
この問題を解決し、光熱費の節約と快適な暮らしを実現するために、国が強力に後押ししているのが「先進的窓リノベ2025事業」です。この制度を活用すれば、最大200万円という非常に高額な補助金を受けながら、ご自宅の窓を高性能な断熱窓へリフォームできます。
この記事では、「先進的窓リノベ2025事業」について、どこよりも分かりやすく、そして詳しく解説します。
- そもそも「先進的窓リノベ2025事業」ってどんな制度?
- 補助金の対象になるための詳しい条件は?
- 一体いくら補助金がもらえるの?具体的な金額シミュレーション
- 申請方法や手続きの具体的な流れは?
- 玄関ドアや勝手口も対象になるって本当?
- 2024年からの変更点はある?
など、あなたが知りたい情報をすべて網羅しました。この記事を読めば、「先進的窓リノベ2025事業」の全てがわかり、補助金を活用して賢くリフォームするための第一歩を踏み出せます。ぜひ最後までご覧ください。
そもそも、なぜ今「窓のリフォーム」が重要なのか?
補助金の解説に入る前に、なぜ国がこれほど大きな予算を投じてまで「窓のリフォーム」を推進しているのか、その重要性についてご説明します。
熱の出入りが最も大きい場所、それが「窓」

出典:住宅省エネ2025キャンペーン事務局ホームページ
データ参照:一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会 / 平成11年省エネ基準レベルの断熱性能の住宅での試算例
上の図をご覧ください。これは住宅において、夏と冬にどれくらいの熱が出入りしているかを示したものです。
- 冬の暖房時:熱が逃げる割合の58%が窓などの開口部から
- 夏の冷房時:熱が入る割合の73%が窓などの開口部から
驚くことに、壁や屋根以上に、窓が熱の出入りに大きく影響していることがわかります。どれだけ高性能なエアコンを使っても、窓の断熱性能が低ければ、まるで穴の空いたバケツに水を入れるように、エネルギーが無駄になってしまうのです。
窓の断熱リフォームがもたらす5つの絶大なメリット
高性能な断熱窓にリフォームすることで、私たちの暮らしは劇的に改善されます。
1. 光熱費を大幅に削減できる
断熱性能が高まることで、エアコンの効きが格段に良くなります。夏は涼しく、冬は暖かい室温を保ちやすくなるため、冷暖房の設定温度を緩やかにでき、年間の光熱費を大幅に節約できます。環境省のデータによると、窓の断熱リフォームによって年間で2万円以上の光熱費削減効果が試算されています。
2. 一年中、快適で健康的な室内環境に
「冬の朝、リビングが冷え切っている」「夏の西日がきつくて過ごしにくい」といった温度のストレスが軽減されます。また、部屋ごとの温度差が少なくなることで、冬場の危険な「ヒートショック」のリスクを低減できます。
3. 悩ましい「結露」を抑制し、カビ・ダニを防ぐ
冬になると窓ガラスがびっしょり濡れる結露。見た目が悪いだけでなく、カーテンや壁紙にカビを発生させ、アレルギーの原因となるダニの温床にもなります。断熱窓は外気との温度差を生じにくくするため、結露の発生を大幅に抑制できます。
4. 騒音をシャットアウトし、静かな住環境を実現
内窓の設置(二重窓)や複層ガラスへの交換は、遮音性能も向上させます。外の車の音や子供の声、工事の騒音などが気にならなくなり、静かで落ち着いたプライベート空間を守ります。
5. 住宅の寿命を延ばす
結露によって発生した水分は、窓枠や壁の内部を傷め、住宅の劣化を早める原因となります。窓の断熱化は、結露を防ぐことで、大切なお住まいを長持ちさせることにも繋がるのです。
【全体像】「先進的窓リノベ2025事業」をわかりやすく解説
「先進的窓リノベ2025事業」は、経済産業省と環境省が連携して行う「住宅省エネ2025キャンペーン」という大きな取り組みの一つです。その中でも、特に断熱効果の高い「窓」のリフォームに特化し、補助額が大きいのが特徴です。
事業の目的は?
この事業は、単にリフォームを支援するだけではありません。
- エネルギー価格高騰への対応: 家庭の光熱費負担を軽減する。
- CO2排出量削減への貢献: 省エネ化を促進し、2050年のカーボンニュートラル実現に貢献する。
- 関連産業の競争力強化: 断熱窓の需要を高め、日本の産業の成長を促す。
という3つの大きな目的を持っています。
事業期間はいつからいつまで?
【重要】 補助金制度は、決められた予算が上限に達し次第、予告なく終了します。
- 契約・工事着工の期間: 2024年11月2日以降
- 事業者登録の期間: 2025年1月中旬~(予定)
- 交付申請の期間: 2025年3月下旬~2025年12月31日(予定)
2024年に実施された同様の事業では、年末を待たずに予算上限に達し、申請が締め切られました。2025年も同様に早期終了する可能性が非常に高いため、検討されている方は一日でも早く行動を開始することをおすすめします。
2024年事業からの変更点は?
現時点で発表されている情報では、2024年事業の基本的な枠組みが踏襲される見込みです。大きな制度変更の予定はありませんが、対象製品の追加や細かな要件が更新される可能性があります。最新情報は公式サイトで確認することが重要です。
【詳細解説】補助金の対象になるための詳しい条件
「うちのリフォームは対象になるの?」と気になる方も多いでしょう。ここでは、補助金の対象となる「人」「住宅」「工事」の3つの条件について詳しく見ていきます。
1. 補助対象者(誰が申請できる?)
補助金の申請手続きはリフォーム工事を行う「窓リノベ事業者」が行いますが、補助金の対象となるのは以下の条件を満たす方です。
- 窓のリフォーム工事を行う住宅の所有者であること
- 個人だけでなく、法人も対象です。
- 戸建て住宅、マンションなどの集合住宅のどちらも対象です。
- 賃貸住宅のオーナーも申請可能です。入居者の快適性向上や物件の価値向上に繋がります。
2. 補助対象となる住宅
- 既存住宅であること(新築は対象外)
- 「既存住宅」とは、リフォームの工事請負契約日時点において、建築から1年が経過した住宅、または過去に人が居住した実績のある住宅を指します。
- 戸建て住宅、集合住宅(マンションなど)
- マンションの場合、専有部分(個人の住戸)の窓が対象です。管理組合が主導して共用部の窓(廊下やエントランスなど)を改修する場合も対象となることがあります。
3. 補助対象となる工事の内容
ここが最も重要なポイントです。補助金の対象となるのは、定められた基準以上の高い断熱性能を持つ製品を使ったリフォーム工事です。
補助対象となる4つの工事
- ガラス交換: 今あるサッシ(窓枠)はそのままに、ガラスのみを高性能な複層ガラスなどに交換する工事。
- 内窓設置: 今ある窓の内側にもう一つ新しい窓を設置し、二重窓にする工事。
- 外窓交換(カバー工法): 今ある窓枠の上から、新しい窓枠を被せて取り付ける工事。壁を壊す必要がないため、比較的短時間で施工できます。
- 外窓交換(はつり工法): 壁を壊して既存の窓枠を撤去し、新しい窓枠からすべて交換する工事。
【重要】補助額の合計が5万円以上で申請可能
小さな窓1箇所だけのリフォームでは、補助額が5万円に満たない場合があります。その場合は申請ができません。リビングの大きな窓と寝室の窓を組み合わせるなど、複数の窓をまとめてリフォームして、補助額の合計を5万円以上にする必要があります。
玄関ドアや勝手口ドアは対象になる?
サジェストキーワードにも多く見られる「玄関ドア」ですが、玄関ドア単体のリフォーム工事は「先進的窓リノベ2025事業」の対象外です。
ただし、例外があります。
窓の断熱リフォームと同一の工事請負契約の中で、玄関ドアや勝手口ドアを一定の断熱性能を持つ製品に交換する場合に限り、補助金の対象に含めることができます。
- 条件: 窓の工事とドアの工事が同じ契約書に含まれていること。
- 注意点: ドアの工事だけでは申請できません。あくまで窓リフォームがメインです。
玄関ドアは「住宅省エネ2025キャンペーン」の中の「子育てエコホーム支援事業」でも補助対象となります。どちらの制度を使うのがお得かは、リフォームの内容やドアの性能によって異なりますので、施工業者によく相談しましょう。
【いくらもらえる?】補助金額の仕組みとシミュレーション
補助金額は、「①工事の種類」「②窓の断熱性能グレード」「③窓の大きさ」の3つの要素の組み合わせによって、1箇所ごとに決まっています。
① 工事の種類
前述した「ガラス交換」「内窓設置」「外窓交換(カバー工法・はつり工法)」のいずれか。
② 窓の断熱性能グレード
製品の断熱性能(熱貫流率 Uw値)によって、SS、S、Aの3つのグレードに分けられています。
- 熱貫流率(Uw値)とは?
- 窓の断熱性能を示す数値で、値が小さいほど性能が高いことを意味します。
- SSグレードが最も性能が高く、補助金額も最も高額に設定されています。
③ 窓の大きさ
ガラス面積に応じて、大(Lサイズ)、中(Mサイズ)、小(Sサイズ)の3つに区分されます。
【補助額の一覧表(抜粋)】
下記は戸建て住宅・低層集合住宅の一例です。正式な金額は公式サイトでご確認ください。
工事の種類 | 性能グレード | 大きさ(ガラス面積) | 補助額(1箇所あたり) |
内窓設置 | SS | 大 (2.8㎡~) | 124,000円 |
S | 中 (1.6㎡~2.8㎡未満) | 84,000円 | |
A | 小 (0.2㎡~1.6㎡未満) | 36,000円 | |
外窓交換 | SS | 大 (2.8㎡~) | 221,000円 |
(カバー工法) | S | 中 (1.6㎡~2.8㎡未満) | 152,000円 |
A | 小 (0.2㎡~1.6㎡未満) | 70,000円 | |
ガラス交換 | SS | 大 (1.4㎡~) | 99,000円 |
S | 中 (0.8㎡~1.4㎡未満) | 68,000円 | |
A | 小 (0.1㎡~0.8㎡未満) | 23,000円 |
具体的な補助額シミュレーション
では、実際にどれくらいの補助金が受けられるのか、モデルケースで見てみましょう。
【ケース1】戸建て住宅で、特に寒さが気になるリビングと寝室をリフォーム
- リビングの掃き出し窓(大サイズ)
- 工事内容:外窓交換(カバー工法)
- 性能グレード:SSグレード
- 補助額:221,000円
- 寝室の引き違い窓(中サイズ)
- 工事内容:内窓設置
- 性能グレード:Sグレード
- 補助額:84,000円
▶︎ 合計補助額:305,000円
【ケース2】分譲マンションで、結露と騒音対策のために全室をリフォーム
中高層集合住宅の場合、補助額が異なります。
- リビングの窓(大サイズ)
- 工事内容:内窓設置
- 性能グレード:Sグレード
- 補助額:97,000円
- 洋室1の窓(中サイズ)
- 工事内容:内窓設置
- 性能グレード:Sグレード
- 補助額:68,000円
- 洋室2の窓(小サイズ)
- 工事内容:内窓設置
- 性能グレード:Sグレード
- 補助額:44,000円
▶︎ 合計補助額:209,000円
このように、リフォームする窓の数や性能によって、数十万円単位の補助金が受けられることがわかります。ご自身の希望する工事でいくら補助金が出るか、まずは登録事業者にシミュレーションを依頼してみましょう。
対象となる製品・メーカーは?
補助金の対象となるのは、事務局に登録された製品のみです。LIXIL(リクシル)、YKK AP、三協アルミ、AGCといった国内の主要な窓・ガラスメーカーの多くが対象製品を登録しています。
対象製品の確認方法:「省エネ建材等級ラベル」
対象製品には、性能を示す「省エネ建材等級ラベル」が表示されています。このラベルを見ることで、その製品が「先進的窓リノベ2025事業」の対象かどうか、また性能グレード(SS, S, A)が何であるかを確認できます。
リフォーム業者と打ち合わせをする際には、このラベルの提示を求め、性能を確認するようにしましょう。
【重要】申請方法と手続きの流れを5ステップで解説
「手続きが難しそう…」と心配されるかもしれませんが、ご安心ください。補助金の申請手続きは、すべてリフォーム工事を行う「窓リノベ事業者」が代行してくれます。
あなたがやるべきことは、信頼できる事業者を見つけ、工事の契約を結ぶことです。
ステップ1:登録事業者を探し、相談する
まずは、この事業に登録している「住宅省エネ支援事業者」を探すことから始まります。以下の公式サイトから、お住まいの地域の事業者を検索できます。

気になる事業者が見つかったら、連絡を取り、窓リフォームの相談をします。この時、「先進的窓リノベ2025事業の補助金を使いたい」とはっきりと伝えましょう。
ステップ2:現地調査・見積もり・工事請負契約
事業者がご自宅を訪問し、窓の寸法や状態を確認する「現地調査」を行います。その結果をもとに、最適なリフォームプランと見積もりが提示されます。
プラン内容、見積金額、補助金の予定額などを十分に確認し、納得できたら「工事請負契約」を結びます。
この契約と同時に、補助金事業の「共同事業実施規約」も確認し、署名することが一般的です。これは、事業者があなたに代わって補助金申請を行うことに同意する、という内容の規約です。
ステップ3:対象製品を使ったリフォーム工事の実施
契約内容に基づき、リフォーム工事が行われます。内窓設置やカバー工法であれば、1箇所あたり数時間〜半日程度で完了することが多く、比較的スピーディーに工事が終わります。
ステップ4:交付申請(事業者が行います)
工事完了後、事業者があなたの代理として、補助金の交付申請を事務局に行います。工事前後の写真や契約書のコピーなど、必要な書類は事業者が準備してくれます。あなた自身が複雑な書類を作成したり、役所へ出向いたりする必要はありません。
ステップ5:補助金の還元
申請が無事に審査を通過すると、事務局から事業者に補助金が交付されます。その後、事業者はあなたに補助金を還元します。
還元方法は主に2通りです。
- 工事代金に充当する: 最終的に支払う工事代金から、補助金額を差し引く方法。最も一般的です。
- 現金で支払う: 工事代金を一旦全額支払い、後日、事業者から補助金分を現金(振込など)で受け取る方法。
どちらの方法になるかは、事業者との契約時に必ず確認しておきましょう。
申請に必要な書類と写真撮影の重要性
あなたが直接申請することはありませんが、事業者から以下の書類の提出を求められることがありますので、準備しておくとスムーズです。
- 本人確認書類のコピー(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 工事請負契約書のコピー
- (マンションの場合)管理組合からのリフォーム工事の承諾書など
また、申請には工事前(Before)と工事後(After)の写真が必須です。これは事業者が撮影しますが、あなた自身も記録として撮影しておくことをお勧めします。特に、どの窓をどのようにリフォームしたかが明確にわかるように撮影することが重要です。
よくある質問(FAQ)
最後に、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。
- Q新築住宅の建築は対象ですか?
- A
いいえ、対象外です。「先進的窓リノベ2025事業」は、既存住宅のリフォームを対象とした制度です。
- Q賃貸マンションに住んでいますが、自分で申請できますか?
- A
いいえ、入居者の方が申請することはできません。申請できるのは、その物件の所有者(大家さん・オーナー)のみです。オーナーに相談してみる価値はあります。
- Q補助金の予算がなくなったらどうなりますか?
- A
予算上限に達した時点で、申請受付が終了となります。それ以降の申請は一切できなくなります。事業の公式ウェブサイトでは、現在の予算執行状況が公開されていますので、定期的にチェックすることをおすすめします。
- Q
- A
- Q問い合わせ先はどこですか?
- A
キャンペーン全体に関するお問い合わせは、以下の合同窓口で受け付けています。
- 住宅省エネ2025キャンペーン 補助事業合同お問合せ窓口
- 電話番号:0570-022-004 (ナビダイヤル・通話料有料)
- IP電話などからの場合:03-6629-1601
- 受付時間:9:00~17:00(土・日・祝日を含む)
ただし、個別のリフォーム相談や見積もりについては、直接リフォーム事業者にお問い合わせください。
まとめ:最高のタイミングを逃さず、賢く快適な住まいへ
今回は、「先進的窓リノベ2025事業」について、目的から申請方法、具体的な補助金額まで詳しく解説しました。
【この記事のポイント】
- 窓は住宅で最も熱の出入りが大きい弱点
- 窓の断熱リフォームは、光熱費削減、快適性向上、健康維持などメリット多数
- 「先進的窓リノベ2025事業」なら、最大200万円の補助金が受けられる
- 申請は事業者が代行してくれるので、手続きはカンタン
- 予算がなくなり次第終了!検討中なら今すぐ行動を!
エネルギー価格の上昇が続き、夏の猛暑や冬の寒さが厳しさを増す中で、住宅の断熱性能を高めることは、もはや贅沢ではなく「必須」の対策と言えます。
これほど手厚い補助金が用意されている「今」は、長年の悩みだった窓の問題を解決する絶好のチャンスです。
「話だけでも聞いてみようかな」
「うちの場合はいくら補助金が出るんだろう?」
そう思われたら、まずはお近くの「住宅省エネ支援事業者」に相談することから始めてみませんか? 予算が終了してしまう前に、賢く補助金を活用し、光熱費の心配を減らし、一年中快適に過ごせる理想の住まいを手に入れましょう。
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